ワクチンの役割とワクチンへの考え方

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ワクチンの役割とワクチンへの考え方

ワクチンとは病原体である細菌やウィルスを無毒化もしくは弱毒化して、それを体内に入れることで抗体を生じさせることで免疫を獲得するものをいいます。

そのワクチンを注射することで体内に入れることを予防接種といいます。

ワクチンを予防接種することで感染症にかからなくする、もしくはかかったとしても症状を軽くすることができます。

予防医療の一つであり、運動や食事の見直しなどと共に1次予防に分類されます。

ワクチンで防げる病気のことを「VPD」と呼びます。

Vaccine = ワクチン

Preventable = 防げる

Diseases = 病気

の略です。

何の略かは特に覚える必要もないかと思いますが、VPDという言葉を聞いたことがある人は少ないのではないでしょうか。これは日本のワクチンに対する認識の低さを表していると思います。

実は少しずつ追いついてきているものの、日本の予防接種制度は先進国の中で最低レベルです。そして何かあるとすぐに反ワクチンの運動が起こるのも日本の特徴です。

ワクチンの種類

ワクチンの予防接種は定期接種と任意接種があります。

定期接種は法律に基づいて自治体が主体となって実施するもので、国の定めた年齢に受けるなら公費補助が出て基本無料で受けられます。但し自治体によっては一部負担のある場合もあります。風疹、麻疹(はしか)、百日咳、ポリオ、BCG(結核)、水痘(水疱瘡)、日本脳炎、B型肝炎、ヒトローマウイルス(HPV、子宮頸がん)、肺炎球菌などがあります。

任意接種は自費で受けるものです。自治体によっては補助が出るものもあります。費用は様々ですが、1回数千円~1万円くらいが多いです。流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、ロタウイルス、インフルエンザ、髄膜炎菌、A型肝炎などがあります。

特に子供の間の予防接種はたくさんあり非常に大切です。世界中にはマラリヤやデング熱のようにワクチンがないため予防ができず多数の命が失われている感染症もあります。

ワクチンが開発されて予防できるVPDは少数ですが、予防接種したら高確率で防ぐことができるのです。しかし日本では欧米などに比べて多くの子供たちがVPDにかかって命を落としたりしています。

ワクチンに対する正しい知識を持つ必要があります。

ワクチンの役割

ワクチンの役割として個人個人の感染を防ぐことはもちろんですが、感染を拡大させないことで周りの人やひいては社会全体を守るという役割を担っています。

さらにはそれにより医療費を抑えられるという可能性もあります。

ワクチンは個人と社会の両方を守るという役割を持っているのです。

反ワクチンの人たちはこれを理解する必要があります。自分だけの問題ではありません。

実際VPDの罹患率は欧米に比べて日本は高いのです。

2007年日本で大学生を中心に麻疹が流行したことがあります。麻疹が流行しているのは日本とアジア、アフリカの発展途上国くらいのもので、先進国はもちろん南米大陸などでも麻疹は撲滅されています。

この2007年の事態では修学旅行でカナダに行った高校生が麻疹にかかり、現地の保健当局から全員ホテルで待機、飛行機の搭乗は拒否という対応をとられています。

麻疹などの危険な病気はゼロであることを常に目指しており麻疹患者が出ること自体が非常事態として捉えられるのです。

また日本はVPD輸出国とも言われてしまっています。

予防接種に対する認識や取り組みの差が大きく表れてしまっています。

反ワクチンを叫ぶ前に他の先進国と日本の予防接種に対する取り組みの差、そしてその結果の差を調べて考えてみてはどうでしょうか?

ワクチンの副反応

ワクチン接種に伴う免疫付与以外の反応のことを副反応と言います。

免疫機序によって起こるものが多いので薬の副作用と区別しているのですが、英語では共にside effect(副作用)と表されるので薬の副作用と同様に考えても構わないと思います。

低い頻度の副反応は避けることはできず、開発段階や治験段階では把握しにくいものもあるのは間違いありません。ですから、接種開始後の迅速な副反応の情報収集と評価が重要になってきます。場合によっては修正や改善が必要になる場合もあると思います。

日本では稀な副反応などが少しでもでるとワクチン自体を否定する声があがりやすく反ワクチン運動になりやすいです。

そもそも治療薬でもワクチンでも手術でも全ての医療行為、さらに言えば医療行為に限らず全てのことに100%安全が保障されることなどあり得ません。不可能です。

ですから改善を繰り返しながらリスクを減らしていく努力を続けてきているのです。

そうやって医療が進歩し、ワクチンもVPDで命を落とすことを防げるようになったのです。

一つの副反応などで反ワクチンを叫ぶということは今までの医療の進歩を否定し、そしてこれからの医療の進歩を妨げる行為であると思います。

ワクチンへの考え方

ワクチンをうつことは100%安全とも言えません。

副作用もあり得ます。しかし副作用があり得るからワクチンをうたないほうがいいかと言えばそういうわけではありません。

例えば100人いたら5人がかかってしまって命を落としてしまう病気があったとします。

その病気のワクチンをうつとその病気にかかる人はいなくなるものの副反応で100人に1人が命を落としてしまうとします。

この副作用で命を落としてしまった人や家族は、ワクチンのせいだと思うかもしれません。

ワクチンをうたなければ100人のうちの病気にならない95人になって命を落とさずに済んだかもしれません。それは間違いありません。ワクチンを否定したくなる気持ちはわかります。本人と家族の感情論に関してはとてもわかります。しかしだからワクチンを否定するのは少し違う話になります。

個人としては100人のうちの5人にならないために、100人のうちの1人になるリスクをとるのです。確率的には勝っています。

社会全体としてはワクチンがなければ95人しか生きられないところを99人生きることができるのです。

理論的には簡単な理論です。しかしワクチンはうって病気にならなかったとしてもワクチンの効果の実感がないのです。病気になった後に薬で治るのは実感があると思いますが、未然に防ぐものなので実感がないのです。

しかしそれが予防というものです。日本人はこの予防に対する意識があまりに低いです。

病気になったら病院に行って治せばいいという意識がまだまだ強くあります。

治らない病気は多数あります。病気にならないようにするための予防でありワクチンなのです。

この意識を持てないからすぐに反ワクチンという根拠もなく理論的にも破綻しているような運動をすぐ起こすのだと思います。

ワクチンは個人だけでなく社会全体も守る機能を持っています。反ワクチンを掲げて自分だけが病気にかかるのであれば結構ですが、それを周囲に感染させたりするのは迷惑でしかありません。

そしてメディアの報道の仕方があまりに悪いです。副作用が出たときにそれのみをひたすら報道します。何人がワクチンをうってその中の何人に副反応が起こったのかなどは報道には出てきません。

メリットとデメリットをしっかり把握しなくては評価などできないのにメディアの報道は一方向からしかしません。

公平性に欠く報道や根拠のない反ワクチン論者などに耳を貸さないでもらいたいです。

しっかり理論的に考えそして世界の現状を知りましょう。

そしてワクチンに対しての正しい理解が広がり少しでも多くの命や健康が守られてもらいたいと思います。

この記事のライター

木部雅也