【防衛費増額】増税は愚の骨頂

社会

日本政府は、現在GDP比で1%程度の防衛費を、NATO加盟国並みのGDP比2%程度に増額する方向で進めています。

年々増やしていきながら5年間では43兆円を予定していて、2027年度にはGDPの約2%に相当する11兆円にする見込みです。

日本の周囲には、中国・ロシア・北朝鮮という核保有国が存在していますし、領土問題も難癖をつけられています。

軍事力が全てではありませんが、軍事力が安全保障において重要な要素であることは間違いありません。

そして日本の防衛費は、GDP比で主要7カ国(G7)の中では最低であることも事実です。

とは言え、この問題は憲法9条と密接に関わってきますから、護憲派の人たちなどは反対の声を上げています。

  • 「軍事費増額するということは、軍事国家になるということだ」
  • 「憲法9条改正するというのは、戦争したいと言っているのと同義だ」

というような暴論を言う人は論外だとしても、やはり軍事費や憲法9条に関しては、考え方で意見が分かれる所なのは当然です。

しかし、今回の最大の問題点は他にあります。

それは

  • 軍事費増額のために、増税をする(増額分の一部を増税で賄う)

という決定がされているということです。

与党内部でも増税には反対の声があがっていたのですが、押し切る形になったようです。

増税に関しては、考え方云々の問題ではなく、明らかにデメリットしかない愚策中の愚策です。

日本の防衛費が少ない理由

2022年度における中国の国防費は、日本の防衛費の6倍以上になっています。

実は1998年ごろは、中国の国防費と日本の防衛費はほぼ同規模でした。

しかし1998年度から2022年度までの伸び率は、中国が10.7倍に対して日本は1.8倍にとどまっています。

ここで注意するべきは、なぜこのように差が生まれたのかということです。

両国の国防費・防衛費のGDP比は以下のように推移しています。

2000年

2010年

2021年

日本

0.93%

0.96%

1.07%

中国

1.83%

1.74%

1.74%

GDP比は中国の方が常に高いのですが、その推移をみると両国ともほぼ横ばいではあるものの、日本は微増しているのに対して中国は微減しています。

つまり、両国の国防費・防衛費に差が生まれたのは、GDP比によるものではないということです。

ではなぜ6倍以上もの差が生まれたかと言えば、それはGDPの成長が大きく違うからです。

この期間で中国のGDPが15倍近くになったのに対して、日本のGDPは成長していません。

名目GDP(USドル)の推移

2012年

2017年

2022年

日本

6,272.36

4,930.84

4,300.62

中国

8,539.58

12,265.33

20,256.41

※単位:10億USドル

※SNA(国民経済計算マニュアル)に基づいたデータとなります。

※2022年のデータはIMFによる2022年10月時点の推計です。

日本は世界で唯一、ここ30年間で経済が衰退した国なのです。

要するに、日本の防衛費が増えない根本的な理由は

  • 日本の経済が成長せず衰退してきたから

なのです。

そしてこのことは、軍事面だけでなくありとあらゆる分野においても、同様のことが言えます。

様々なことの根元は、日本経済の衰退にあるわけです。

増税により防衛力は低下する

現在の日本の経済は、相変わらず停滞しているうえ、ウクライナ問題や円安などによるコストプッシュ型インフレによって、より悪い状況になっています。

そのような中、防衛費増加のために増税を行ったらどうなるかと言えば、当然さらに経済は悪くなっていきます。誰にでもわかる簡単なことです。

日本政府はこれまでも、バブル崩壊後のデフレ下において、増税や社会保険料の引き上げなどの緊縮財政を行い続けてきました。

その結果が「失われた20年(30年)」と言われる、世界でも類を見ない長期のデフレです。

要するに、日本政府はこれまでも緊縮財政によって経済を衰退させ、現在も同じことを行っているのです。

経済が衰退していけば、GDPは成長せず減少することもありますから、その結果は防衛費も減少することになりかねません。

結局のところ、長期的に見れば増やしたい防衛費も増税によって減少させることになるわけです。防衛力の低下に繋がるのです。

岸田総理は、次のように発言しています。

  • 今議論しているのは、防衛能力を抜本強化し、日本人の暮らしと命を守り続けるという話だ。
  • 責任ある財源を考えるべきで、今を生きる国民が自らの責任として、その重みを背負って対応するべきだ。

責任ある財源とは何ですかね?国民が苦しい思いをする財源が責任というような精神論なのでしょうか。

増税をするのであれば、日本人の暮らしと命に対してはデメリットにしか働きません。

また、松野官房長官も以下のような発言をしています。

  • 国民の平和で豊かな暮らしを守るために、未来の世代に責任を果たすために、 税制で国民にお願いしたい。

未来の世代に責任を果たすためには、増税ではなく減税です。

復興特別所得税を延長するという、目に見える形で未来の世代を苦しめる政策をとっているのに、よくこのようなことが言えるものです。

減税と赤字国債発行

何も防衛費を増額するなと言っているわけではありません。防衛費を増額して、経済を良くすればよいだけのことです。

それは両立することが可能です。減税や社会保険料の引き下げをして、赤字国債を発行すれば良いのです。

防衛増額の財源は赤字国債以外に選択肢はありません。要は、積極財政を行えばよいのです。

積極財政を行うことで、経済の底上げに繋がります。

「積極財政」の一例
減税 政府支出拡大
雇用確保 資金供給

経済が底上げされれば、防衛費に限らずあらゆる分野において、産業を成長させて好景気にしていくことが可能になります。

増税は、景気が過熱しそうなときに行えばいいのです。

まとめ

  • ・日本の防衛費が少ないのはGDP(経済)が成長していないから
  • ・経済が成長していないのは、緊縮財政を行っているから
  • ・防衛費増額の財源は赤字国債発行で良い
  • ・減税して積極財政を行うべき

日本はどんどん貧しくなっています。

政府が行っている緊縮財政が諸悪の根源ですが、元はと言えばそれを支持して選挙で選び続けてきた国民の責任です。

前回の参議院選において自民党が圧勝したということは、国民の世論は増税支持ということに他ならないわけです。

自分たちの生活が苦しくなるだけなのにも拘らず、必要のない増税を支持しているのが日本人の大半なのです。どうかしています。

そして、増税は今回のことで終わりではありません。コロナ増税や金融所得課税の増税など、今後も増税ラッシュでしょう。

ますます日本は貧しい国になっていきます。それもこれも、無知な大衆の責任なわけです。

コロナ茶番も害悪でしかない増税も、大衆の無知の結晶です。無知は罪ですね。

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