外国人医療タダ乗り問題

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外国人医療タダ乗り問題

外国人医療タダ乗り問題とは

近年特に中国の富裕層の間では日本の質の高い健康診断を受ける「医療ツーリズム」が人気になっています。

このような医療目的のツアーは全額自費になります。

これは保険料を払っていないので当然で全額自費で支払う以上、特に問題のあることではありません。

そもそも医療目的の医療滞在ビザで日本に来た外国人は国民保険に加入することはできません。

しかし医療目的を隠して日本に来て日本の医療を安く受けてすぐ自国に帰るという悪用をする外国人が急増しているのです。

  • 3か月滞在すれば保険適用の医療を受けられる

日本の国民保険は日本に3か月住むと加入することが義務付けられます。これを逆手にとって医療を受けているのです。

例えば留学ビザによって日本に来て3か月たって国民保険に加入することで日本の医療を受けることができます。

また経営・管理ビザは日本で事業をするためのビザですが、資本金500万円以上の会社を設立する必要があります。

これも3か月で国民保険に加入できるのですが、一旦500万円を借りて見せ金とすることでペーパーカンパニーを設立してくれるブローカーがいるそうです。

さらにそれを手引きするような日本の行政書士もいるというのです。

そもそも国民皆保険制度は全員が保険料を支払うことによって医療が必要な人に分配する制度です。

その日本の国民保険は日本に3か月住むと加入することが義務付けられます。保険料を支払うことなく医療のみを受けて高額の医療費を使って自国に帰るのです。

高額寮費制度

高額寮費制度

この医療タダ乗り問題と高額療養費制度は切っても切れない関係にあります。

  • 高額療養費制度とは高額の医療負担金が発生した場合、ある一定以上の負担は免除される制度です。

収入にもよりますが、高額の抗がん剤のオプジーボで治療した場合、1年で約1300万円の医療費がかかると言われています。

それを国民保険に加入して高額療養費制度を使うことで実質負担は年間60万円ほどに抑えることができます。

またC型肝炎の特効薬のハーボニーは3か月で465万円ほどかかるそうですが、国民保険に加入して医療助成制度を活用することで月額2万円ほどに抑えることができるそうです。

もちろんこれらの制度は保険料を継続的に支払っている人が受ける権利を有するものなのですが、先述したように不当に日本に来た外国人がこれらの制度をフルに悪用して医療を受けているのです。

69歳以下

69歳以下自己負担額

70歳以上

70歳以上自己負担額

日本の医療レベルと医療制度

外国人医療タダ乗りは問題ですが、そもそも日本の医療を外国人が求めて日本に来るのは他の先進諸外国に比べて日本の医療レベルが非常に高く安価だからです。

  • 合法だがこれを野放しにしていいのか⁉

そして不当とは言え保険証の使いまわしなどをしていなければ医療タダ乗りは日本の国民保険制度上違法ではなく合法的な手段なのです。

違法をしているわけではなく、合法的に制度の穴をついたやり方ということなのです。

日本人が最も日本の医療が非常に高いレベルで安価だということを知らないのではないでしょうか。

外国人も求めて日本にやってくるほどの日本の医療。

これを日本人は認識し守るためにしっかりと考える必要があります。

「悪用」を責められるか

先述した通り医療タダ乗りは保険料を払っていないにもかかわらず医療を使うといういわゆる「悪用」ですが、決して違法ではないのです。

もし自分や家族が癌などの命にかかわる病気にかかり自分の住んでいる国の医療レベルは低く費用も高額でとても出せないけれど、隣国の医療レベルは非常に高く安価で受けられるとしたら皆さんどうしますか?

それが悪用だとしても違法でなければどうしますか?

もし仮に自分のことは我慢できても大切な家族の命を救うためであればすがる気持ちで使ってしまうのではないかと思います。

この問題は外国人のモラルの問題というよりも制度の問題なのではないかと思います。

ただ外国人を非難するだけでは何も解決しないと思います。

この問題の背景とは

この問題の背景とは

この問題の背景は最近日本の医療レベルが高くなり安価になったからというわけではありません。

  • 背景には外国人労働者の獲得があります。

少子化に伴い外国人労働者の獲得を目指すため2012年3月に民主党政権が国民保険加入を1年在住から3か月在住で可能にしたことが背景にあります。

つまり医療とは別の問題へのアプローチが医療問題を引き起こしているのです。(厳密にいえば外国人労働者は介護現場への人員の補充を非常に期待されているので医療と全く別とも言えないのですが。)

このようなことは様々な問題において存在します。

ある問題に対して改善策としてのものが他の問題の原因になってしまうことは多々存在します。

物事は一方向からのみのアプローチだけでなく多方面から考えなくてはなりません。

外国人医療タダ乗り問題を防ぐためには

確実に言えることは3か月という国民保険の加入条件を延ばす必要があると思います。

最低でも1年。3年位にしてもいいかと思います。

しかしその分外国人労働者や留学生は減ることが考えられます。

そうなったときにまた混乱しては堂々巡りになってしまいます。

つまりは優先順位をつけなくてはなりません。

私は医療体制を守ることを第一にしなくてはならないと思います。

そしてこれからの超高齢化社会になり労働人口が減っても成り立つように医療や介護を必要とならないように各々が意識改革をしなくてはならないと考えています。

足りないものを常に補充する考え方は脱却しなくてはならないのではないでしょうか。今あるものやマンパワーで成り立つようにシフトしていく必要があると思います。

しかし私の意見に反対の方もいると思います。

反対意見があることは喜ばしいことです。

誰もが考えて当事者意識をもって議論をしていかなくてはなりません。

  • 保険料を支払い医療を受ける私たち全員が当事者です

無関心は危険です。

また一方向からだけ物事を見て批判のみする人も危険です。

権利を求めるだけでなく、ある程度の我慢や抑えるべきところは抑えるなどの意識を持たなくてはならないと心から思います。