夢や目標は持たなくてもいい

教育
夢や目標は持たなくてもいい

「将来の夢をもちなさい」

「将来何になりたいの?」

「大きな目標を持たないと成長できない」

「進路どうするつもりだ」

「あなたの夢は何ですか?」

このような言葉を親が子供に言ったり、大人が若い人に言ったり、教師が進路相談で生徒に言ったりすることはよくあります。

果たしてこの将来の夢や目標を決めてそれに向かって突き進むことは本当に大切なのでしょうか?

はっきり言ってしまえばNOだと思います。

必ずしも大切ではないし必要でもないと思います。

決して本人が自発的に夢や目標持つことを否定しているわけではありません。

むしろ自発的に夢や目標を持つことは、素晴らしいことだと思います。 そうではなく、大人が夢や目標を持つことをあたかも正しく重要で必要なことであり、夢や目標がないことが良くないことだと子供や若い人に押し付けることは非常におかしいと感じるのです。

<夢や目標を持たなくてもいい理由①>

reason1

一つ目の理由として、知らなかったりわからないことは夢にも目標にもできないということです。

人は人生をかけて色々なことを見たり知ったり経験したり考えたりします。

子供や若い人は、世の中の知らないことや経験したことのないことはたくさんあります。

そりゃそうですよね、大人でも知らないことや経験したことのないことだらけなのです。

少しずつ色々なことを知り、経験し、考えて、そして興味の対象も移り変わっていくはずです。

何も知らないうちに限られた選択肢の中から無理に夢や目標を設定することは、可能性を狭めてしまうだけになってしまいます。

自分で天職と思える職業についている人も子供のころや若いころからそれが自分の天職だと思っていたわけではなく、色々なことを知り経験していくうちに巡り合ったのではないでしょうか。

もちろん、例えば子供のころから自分自身が憧れて、プロ野球選手になりたいと夢を持つことは良いことだと思います。

その根底は野球が好きだからです。

だからこそ一生懸命野球の練習をして上達するために努力をして、その結果成果を得られるかもしれませんが、逆に残念ながら自分の限界を感じてしまうかもしれません。

しかし限界を感じて諦めて挫折することは失敗ではありません。

そこまでの過程や、現実を受け入れることや、そして何よりもその挫折を乗り越えて他のことにも目を向けていくことこそが特に若いうちには貴重な経験です。

そして大人や親の役割は、その努力や挫折などを見守り、どうしても挫折を超えることが難しい時に手を差し伸べて次に進めるように少しの手助けをすることではないでしょうか。

自分の先入観や狭い世界を押し付けて失敗しないように制限する大人や親は、害でしかありません。

<夢や目標を持たなくてもいい理由②>

reason2

次に職業で言えば、現実的な話として、子供のころに目指した職業などが将来まで存在するかわからないということです。

これは単純にリスクです。

今後AIの普及などによって現存する職業の半数ほどがなくなるのではないかとも言われます。もちろん断定はできませんが、断定できないからこそ将来にその目指した職業が存在している保証がないのです。

まずなくならないような職業を目指すのであればいいのかもしれませんが、時代が変われば同じ職業でもAIがやることが増え、人間がやることは大きく変わるかもしれません。

そうすると目指した時と同じような内容ではないかもしれません。

それでも自分自身が自発的に目指すのであればいいと思いますが、大人の世代が先入観で勧めるような職業を盲目的に目指すのはまず辞めたほうがいいです。

基本的に若ければ若いほど未来の最新のテクノロジーを使いこなせるのは確実です。

歳をとっていればいるほど使いこなせません。

その未来のテクノロジーを前提とした将来の職業などを現在の大人たちが正確に判断することはまず不可能です。

結局のところ大人たちは(もちろん全員ではありません)、自分たちが想像することすらできない将来の時代に対して、自分たちの時代の自分だけのサンプル数1でしかない経験を押し付けているのです。

耳を貸すべきではないと思います。

子供たちや若い人たちに本当に大切なことは、今やりたいことを大切にしてそれを一生懸命にやることです。

effort

その延長にだんだんと目標はできてきます。

縄跳びを初めてやって楽しさを覚えた子供は、まず普通の前跳びを一生懸命に練習します。

それができるようになったら、後ろ跳び、あや跳び、2重跳びなど次の目標を設定してレベルアップするために練習していきます。

そうやって一つ階段を上ると景色が変わって次の目標ができます。そしてまた階段を上って次の目標ができていくのです。

そのように一歩ずつ階段を上りできるために工夫し練習し考えるという過程こそが重要であり、糧になるのです。

もちろん縄跳びよりも興味のあるものができたら、新たにそれに夢中になればいいのです。

そのようにしてとにかく自分のその時にやりたいことを探しながら考えながら夢中になればいいと思います。

そして自分の価値観を押し付けるのではなく好きなことをやっている子供などを見守りチャンスを与えることこそが、私たち大人の役割ではないのでしょうか。